講座もいよいよ大詰めです。
今回は、5000年の歴史をくぐり抜けてきた、ひとつの問いに正面から向き合います。
「借りたものは、返さなければならない」。
誰もが頷く道徳です。
グレーバーの『負債論』は、実はこの一文を疑うためだけに書かれた本だと言ってもいい。
日本語版で850ページ近い大著の入り口に置かれているのは、あるパーティーでの雑談です。
グレーバーがパーティーで、ある弁護士の女性と話していたときのこと。
彼は、途上国の債務帳消し運動に関わっていました。
貧しい国が、何十年も前の独裁者が作った借金の利子に苦しみ、医療や教育を削って返済している。
そういう債務は帳消しにすべきだ、という運動です。