第2部のテーマは「部族のつくり方」です。
人の群れは、何を目印に「われわれ」になるのか。
最初の手がかりは、オーストラリアの砂漠にあります。
オーストラリアの先住民アボリジニの社会は、いくつもの集団に分かれていました。
それぞれの集団には、特定の動植物——カンガルー、エミュー、イモムシ、ある種の草——が結びついています。
この目印を「トーテム」と呼びます。
カンガルーを掲げる一族の人々は、カンガルーを「われわれの仲間」とみなし、特別な儀礼で敬い、多くの場合、むやみに食べることを禁じられます。
トーテムは彼らの紋章であり、祖先であり、集団の名前でもある。
19世紀の研究者たちはこれを「トーテミズム」と名づけ、世界中——北米先住民のワシやクマ、アフリカのヒョウの氏族——に同じ仕組みがあることを見つけました。
不思議なのはここです。
カンガルーの一族といっても、実際にカンガルーの血を引いているわけではありません。
なんの実体的な根拠もない目印が、集団を本気で束ねている。
なぜこんなことが可能なのか。