前回、旗印が「われわれ」を作ると学びました。
今回はその影の部分です。
「われわれ」という言葉は、発した瞬間に、世界を二つに切り分けます。
ウチと、ソト。
この線引きこそ、人間のもっとも根深い習性です。
文化人類学が積み上げてきた発見のひとつに、こういうものがあります。
あらゆる文化は、世界を分類する体系である。
食べていいもの/いけないもの。
結婚していい相手/いけない相手。
聖なる場所/俗なる場所。
男の仕事/女の仕事(という区分そのものも文化の産物です)。
文化が違うとは、モノの分類の仕方が違うということです。
ある文化で「食べ物」に分類される昆虫は、別の文化では「食べ物以外の何か」に分類されている。
昆虫そのものは同じなのに。
そして、あらゆる分類の中でいちばん強力なのが、人間の分類——ウチとソトです。