今回は、思考実験から始めます。
直感で選んでください。
イギリスの人類学者メアリ・ダグラスは、1966年の名著『汚穢と禁忌』で、世界中の「汚れ」と「タブー」の観念を調べ、鮮やかすぎる結論に到達しました。
汚れとは、場違いなものである。
靴そのものは汚くない。
ベッドの上の靴が汚い。
食べ物は汚くない。
服についた食べ物が汚い。
髪の毛は美しい。
スープに入った髪の毛は汚い。
つまり「汚い」という感覚は、モノの性質ではなく、モノと場所の組み合わせに反応している。
それぞれの文化が持つ分類体系——あるべきものが、あるべき場所にある秩序——からはみ出したものに、ぼくらは「汚い」というラベルを貼るんです。
前回学んだ「分類の裂け目がざわつく」の、これが完成形です。
汚れの感覚とは、分類体系が発する警報です。