「タブー」は、いまや日常語です。
「その話題はタブーだよ」くらいの軽さで使われます。
でも、もとは人類学の言葉でした。
ポリネシアの「タプ」——触れてはならぬもの——に由来します。
キャプテン・クックの航海記でヨーロッパに持ち帰られた、数少ない太平洋発の世界語です。
ポリネシアの社会では、さまざまなものがタプとされていました。
首長の身体、聖なる場所、特定の食物、戦いの前の戦士。
タプに触れた者には、災いが降りかかるとされます。
人類学者たちが世界中で観察したタブーには、共通の特徴があります。
理由が説明されないことです。
「なぜ触れてはいけないのか」と尋ねても、「いけないからいけない」「昔からそうだ」という答えしか返ってこない。
近代人はここで「非合理な迷信だ」と切り捨てたくなります。
でも、この講座をここまで歩いてきたあなたなら、もう一歩深く見られるはずです。
前回のダグラスの理論を思い出してください。
汚れとは、分類体系の警報でした。
タブーはその最高レベル——共同体の秩序の、いちばん大事な急所に張られた電気柵です。