第3部のテーマは「儀礼」です。
儀礼と聞くと、形式的で退屈なもの——結婚式の決まり文句、入社式の社長挨拶——を想像するかもしれません。
でも文化人類学にとって、儀礼は共同体の心臓部です。
そして、あなどれない発見があります。
人間は、儀式なしでは「変われない」らしいのです。
1909年、フランスの人類学者アルノルト・ファン・ヘネップは、『通過儀礼』という本で、驚くべきパターンを報告しました。
世界中の社会には、人生の節目——誕生、成人、結婚、死——に儀式があります。
アフリカの成人式、ボルネオの葬送、ヨーロッパの婚礼。
文化も内容もばらばらのこれらの儀式が、すべて同じ三幕構成を持っていたんです。
- 第一幕: 分離 — それまでの日常・地位・関係から、切り離される
- 第二幕: 過渡(移行) — どっちつかずの宙ぶらりん状態に置かれる
- 第三幕: 統合 — 新しい地位・関係を持つ者として、共同体に迎え直される