穀物倉が、崩れたとします。
倉の柱はシロアリに食われていました。
調べれば、崩れた原因は完全に説明できます。
老朽化です。
ここまでは、どの文化の人でも同意します。
でも、こういう問いが残ります。
なぜ、今日崩れたのか。なぜ、よりによって、あの人が日陰で休んでいる、その瞬間に。
この例は、イギリスの人類学者エヴァンズ=プリチャードが、中央アフリカのアザンデの人々を調査した古典的研究から来ています。
アザンデの人々は、倉がシロアリで崩れることをよく知っています。
彼らは因果関係に無知ではありません。
でも彼らは、「なぜ崩れたか」と「なぜこのとき、この人に」を、別の問いとして扱いました。
前者の答えはシロアリ。
後者の答えが、妖術です。
誰かの妬みや悪意が、妖術として働いたから、事故と被害者がその瞬間に交差した——そう考える。