カーネマンが「キャリアで最も満足した瞬間のひとつ」と語る、実話から始めます。
彼はイスラエル空軍で、飛行教官たちに「褒めることが訓練に効く」という心理学の知見を講義していました。
すると、ベテラン教官が反論します。
「先生、逆です。うまい着陸を褒めると、次はたいてい下手になる。ひどい着陸を怒鳴りつけると、次はたいてい良くなる。褒めるとダメになり、叱ると伸びるんです」
教官の観察は、事実でした。
データを取っても、そうなります。
でも、結論は間違っていました。
パイロットの一回一回の着陸の出来は、実力だけでは決まりません。
風、体調、集中の波。
実力+運です。