大きな台風が街を直撃した直後を、想像してください。
停電でモーテルは満室。
氷は普段の10倍の値段で売られ、屋根の修理業者は法外な料金をふっかけてくる。
実際にアメリカでハリケーンが直撃したとき、こうした「便乗値上げ」が社会問題になりました。
このとき、世論は真っ二つに割れたんです。
「災害につけ込んで儲けるなんて強欲だ。取り締まれ」という怒りの声。
「値段が上がるから業者が急いで集まり、物資が復旧するんだ。市場に任せろ」という擁護の声。
サンデルは『これからの「正義」の話をしよう』の冒頭で、この論争を取り上げます。
そして、こう整理してみせるんです。
正義をめぐる議論は、突き詰めるとたった三つの物差しに分かれる、と。