中年の輸入雑貨商が、ひとりで飯を食う。
それだけのマンガがあります。
事件は起きません。
恋愛もバトルもない。
井之頭五郎という男が、営業先の町で腹を減らし、店を選び、黙々と食べて、心の中で実況する。
『孤独のグルメ』(久住昌之・谷口ジロー)です。
1994年に始まったこの作品は、いまや実写ドラマの長寿シリーズになり、海外にも熱心なファンを持っています。
繰り返しますが、飯を食うだけです。
今回は、この「だけ」が成立する日本マンガの異常さの話をします。
第15回で、日本のマンガは「読者が人生のどの段階でも読むものがある」生態系を作ったという話をしました。
平成以降、この生態系はもう一段進化します。
年齢の軸に加えて、題材の軸が無限に細分化したんです。
ぼくのおすすめリストから実例を並べます。