科学の世界には、気まずい種類の問題があります。
新しい謎が見つかったのではなく、昔から知っているはずのものを測り直したら、答えが二つに割れてしまった、という種類です。
しかも、どちらの測定チームも一流で、どちらも間違いが見つからない。
いま宇宙論がまさにその状態にあります。
問題になっているのは、宇宙がどれくらいの速さで膨張しているか、というたった一つの数字です。
宇宙論でいちばん基本的な数字と言っていい。
これが、測り方によって合わないのです。
食い違いは1割弱ほど。
たったそれだけかと思われるかもしれませんが、この分野の測定精度からすると、絶対にあってはならない大きさです。