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なぜ人は、妖怪を生んだのか 第10回

祭りの構造 — 秩序は、壊すために守る

第2部 ハレとケ

祭りの夜、普段は物静かな近所のおじさんが、神輿の上で大声を上げている。

見たことのある光景だと思います。
祭りでは、日常なら眉をひそめられる行動——大声、泥酔、乱闘まがいの神輿のぶつけ合い——が、なぜか許される。
それどころか、称賛すらされる。
今日は、この不思議を解剖します。
なぜ共同体は、年に一度、自分たちの秩序をわざと壊すのか

まず祭りの基本構造から。
多くの祭りの中心には、神輿があります。

神輿とは、文字どおり神の乗り物です。
普段は神社の奥にいる神様を、年に一度乗り物に移して、氏子の暮らす町や村を巡ってもらう。
神様の側から人間の生活圏へ出張してくる日、それが祭りです。
神輿が家々の前を通ることで、その年の穢れが祓われ、共同体全体が神の力で充電される。

だから神輿は、ただ静かに運べばいいものではありません。
激しく揺らし、ぶつけ、暴れさせる祭りが各地にあります。
神の力は、揺さぶられることで活性化すると考えられたからです。
乱暴に見えるあの担ぎ方は、神様を「起こして」いるんです。

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