「七つ前は神のうち」という言葉があります。
七歳になるまでの子どもは、まだ完全にこの世の人間ではなく、半分は神様の側にいる——そういう意味です。
美しい言葉に聞こえますが、この裏には、切実な現実がありました。
かつての日本では、乳幼児の死亡率が非常に高かった。
七歳まで育つこと自体が、当たり前ではなかったんです。
今日は、人生の節目に打ち込まれた儀式——通過儀礼の話です。
文化人類学の講座では、この概念を世界共通の理論として扱いました。
今回は日本の現場、つまりあなた自身が通ってきた儀式の意味を掘ります。
「七つ前は神のうち」の世界では、幼い子どもの死は「神様のもとへ帰った」と受け止められました。
まだこの世に完全に定着していない存在だから、あちらへ戻ることもある。
そう考えることで、あまりに多い子どもの死を、共同体は受け止めようとしました。
だからこそ、節目ごとの祝いが必要でした。
三歳、五歳、七歳。
髪を伸ばし始める、袴を着ける、帯を締める。
それぞれの儀式は「この子はここまで育った」という生存の確認であり、「この世の人間」への段階的な引き上げでした。
七五三が終わると、子どもはようやく共同体の正式なメンバーとして数えられる。
氏神様に参るのは、「この子はうちの共同体の一員です」という神様への登録手続きだったんです。