最後のおまけは、告白の回収です。
第16回で白状したとおり、大学時代のぼくのサイトには「魔羅教指南書」というふざけた名前のマーラー入門コーナーがありました。
交響曲全曲の楽章別解説を書き、名盤の聴き比べを載せ、教祖気取りで布教していた。
第1番から第10番まで「一通り聴いたな」と思えるまで、1年半かかりました。
この回は、その魔羅教の18年越しの改訂版です。
マーラーなんて長くて難しそう、という人にこそ読んでほしい。
当時のぼくの結論を先に言うと、マーラーは難解ではありません。
むしろ音楽史でいちばん「開かれた」作曲家です。
理由その一、旋律が歌いやすい。
第16回で聴いたアダージェットを思い出してください。
あの過剰なまでの甘さ。
通俗的で映画音楽っぽい、と感じた人は素晴らしい感性です。
実際にヴィスコンティが映画『ベニスに死す』で使い、世界中を泣かせました。
マーラーの主題はほとんど歌えます。
「長くて難解」という評判と、中身のキャッチーさのギャップが、この人の第一の面白さです。