1874年、ドイツのミュンヘン大学。
ひとりの16歳の少年が、物理学科に進むべきか教授に相談しました。
教授の答えは、こうだったと伝えられています。
「物理学では、ほとんどすべてのことがすでに発見されてしまった。残っているのは、いくつかの穴を埋める仕事くらいだ」。
将来性のない分野はやめておけ、というわけです。
少年の名は、マックス・プランク。
のちに量子力学の扉を開けて、物理学を根こそぎひっくり返す張本人です。
「もう完成した」と言われた学問が、その少年の手で崩壊を始める。
歴史はときどき、できすぎた脚本を書きます。
まず押さえておきたいのは、当時の物理学者たちの自信が、ただの傲慢ではなかったことです。
19世紀の物理学は、実際、勝ちまくっていました。