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眠れなくなる世界史 第9回

ローマ(後編) — パクス・ロマーナ、そして帝国はなぜ滅んだか

第2部 ギリシャ・ローマと東洋の古典

カエサル暗殺後の内戦を勝ち抜いたのは、養子のオクタウィアヌスでした。

彼は義父の失敗を、完璧に学習していました。
カエサルは独裁者として振る舞い、殺された。
ならば答えは一つ。
「独裁者に見えない独裁者」になればいい。

オクタウィアヌスは「私は共和政を復活させる」と宣言し、権力を元老院に返す芝居を打ちます。
感激した元老院は、彼に「アウグストゥス(尊厳ある者)」の称号を贈り、各種の権限を「お願いだから」と押しつけました。
王とも皇帝とも名乗らず、「市民の第一人者」と自称する。
でも軍事も財政も人事も、実質は全部彼のもの。

看板は共和政のまま、中身だけ帝政にすり替える。
史上最高レベルの政治テクニックです。
「人は肩書きではなく、実権を握った者に従う。そして人は、変化がないふりをされると安心する」。
この洞察は、いまの組織論としてもそのまま通用します。

アウグストゥスから約200年間、地中海世界はローマの下で空前の平和を迎えます。
パクス・ロマーナ、「ローマの平和」です。

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