哲学、と聞いた瞬間に少し身構えませんでしたか。
難しそう、役に立たなさそう、なんだか偉そう。
わかります。
ぼくも昔はそう思っていました。
なので最初に、哲学が生まれた瞬間の話をさせてください。
主人公は紀元前600年ごろ、ギリシャの港町ミレトスに住んでいたタレスという男です。
タレスはある夜、星空の観察に夢中になって歩いていて、そのまま井戸に落ちました。
それを見ていた召使いの女性に「天のことを知ろうとして、ご自分の足元が見えていないんですね」と大笑いされた、と伝えられています。
記念すべき哲学者第一号は、笑われるところから始まったんです。
ただ、この男、ただの天然ではありません。
タレスは星と気象の知識から「来年はオリーブが豊作になる」と読み、冬のうちに油搾り機を安く借り占めました。
翌年は予測どおりの大豊作。
搾り機を求めて殺到した農家に言い値で貸し出して大儲けした、と伝えられています。
この逸話を紹介したアリストテレスは、こう付け加えました。
哲学者はその気になれば簡単に金持ちになれる、ただ本気で目指しているものが別にあるだけだ、と。