紀元前6世紀のギリシャで、この壮大すぎる問いに大真面目に取り組んだ人たちがいます。
出てきた答えは、水、無限なもの、空気、数、火、原子。
一見、珍答大会です。
でもこの議論、人類史の大事件でした。
なぜなら彼らは史上初めて、「神様の物語を使わずに」世界を説明しようとしたからです。
それまで、世界の成り立ちは神話が説明していました。
雷はゼウスの怒り、海の荒れはポセイドンの機嫌。
物語としては最高ですが、検証のしようがありません。
ミレトスの哲学者たちは、そこに別のルールを持ち込みました。
観察できることと、筋の通った理屈だけで説明しようぜ、というルールです。
これを哲学の用語で「ミュートス(神話)からロゴス(理性)へ」と呼びます。
このルール変更こそ、哲学と科学の共通の出生届なんです。
最初の哲学者たちが暮らしたミレトスは、エーゲ海に面した国際貿易都市でした。
エジプトからもメソポタミアからも、船と一緒に知識と神話が流れ込んでくる。