「タット・トヴァム・アシ」。
訳すと、「あなたは、それである」。
……いや、「それ」って何。
主語も述語も謎のこの一言が、実はインド哲学の最高機密です。
そしてこの謎解きが、のちにヒュームやショーペンハウアーといった西洋の大物たちを揺さぶり、この講座の縦糸「東西の対話」の起点になります。
今回は、東のもう一つの震源地、インドの話です。
古代インドの宗教といえば、火に供物を捧げ、神々に祈るヴェーダの祭式でした。
ところが紀元前800年ごろから、様子が変わります。
森に隠棲した賢者たちが、祭式の外側で問い始めたんです。
祈る相手の神々の、さらに奥には何があるのか。
そして、祈っているこの「私」の正体は何なのか。