五十代半ばで祖国を飛び出し、弟子を引き連れて国から国へ。
「私を雇えば、必ず良い国にしてみせます」と売り込み続けて、どこにも採用されませんでした。
旅の途中では食糧が尽きて弟子と飢え、命を狙われたことも一度や二度ではなかったと伝えられています。
ある町では、その風采を「家を失った犬のようだ」と評されました。
それを弟子から伝え聞いた本人は、怒るどころか笑ってこう言ったと伝えられています。
「うまいことを言う。まさにその通りだ」と。
男の名は、孔子。
生前は不遇をきわめたこの「就活浪人」が、死後二千五百年にわたって東アジア全体の教師になります。
今回は舞台を中国に移して、ソクラテスたちと同じ時代の「東の哲学ビッグバン」を見ていきます。
孔子が生きたのは、春秋時代の末期。
周王朝の権威が崩れ、諸侯が覇を競い、やがて戦国時代の弱肉強食へ突入していく乱世です。
世界史講座でも見た、あの時代ですね。