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こんなに面白い哲学 第16回

スピノザ — 神を愛しすぎて破門された男

第3部 近代の夜明け

その宣告文が、すさまじいんです。
昼も夜も呪われよ、寝るときも起きるときも呪われよ。
誰も彼と口をきいてはならず、同じ屋根の下にいてはならず、彼の書いたものを読んではならない——。

共同体からの、完全な抹消宣言です。
のちに刃物で襲われ、外套を切り裂かれる事件まで起きたと伝えられています。

青年の名は、スピノザ。
罪状は、とんでもない神学思想を抱いたこと。

ところが本人は、呪われたその後の人生を、驚くほど穏やかに生きました。
レンズを磨いて質素に暮らし、名声も教授職も断り、訪ねてくる人には誰にでも礼儀正しく。
哲学史上もっとも過激な思想を、哲学史上もっとも穏やかな人が抱えていた。
今回は、この最高のギャップの持ち主の話です。

スピノザの中心思想は、一言で言えます。
「神即自然(しんそくしぜん)」。
神とは、すなわち自然である。

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