訪ねてきたのは、30歳の外交官。
迎えたのは、破門されたレンズ磨き、スピノザです。
外交官の名は、ライプニッツ。
微積分の発明者にして、二進法の発明者にして、論理学者にして、法律家にして、歴史家にして、鉱山技師。
「歩く百科事典」「最後の万能の天才」と呼ばれる怪物です。
当代最高の頭脳が、危険思想家として世界から呪われている男を、こっそり訪ねて数日間語り合った。
何が話されたかの完全な記録はありません。
でもぼくは、この場面が十七世紀哲学でいちばん映画的な一コマだと思っています。
今回は、この万能の天才が挑んだ、とびきり大きな問いの話です。
「この世界は、なぜこの世界なのか」。
ライプニッツの形而上学の主役は、「モナド」という耳慣れない存在です。