「それについて考えることが度重なるほど、つねに新たな感嘆と畏敬で心を満たすものが二つある。
わが上なる星空と、わが内なる道徳法則である」。
頭上の星空と、胸の内の道徳法則。
この取り合わせが、カント哲学の全体地図になっています。
星空、つまり自然の世界を認識の理論で測量したのが、前編で見た『純粋理性批判』。
そして胸の内の道徳法則を測量したのが、今回の主題です。
時計のように規則正しく生きた小柄な独身の学者は、実は、近代でもっともラディカルな道徳の理論家でした。
カント倫理学の出発点は、挑発的です。