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こんなに面白い哲学 第20回

カント(前編) — 認識のコペルニクス的転回

第3部 近代の夜明け

毎日決まった時刻に起き、決まった時刻に執筆し、午後の決まった時刻に、決まった道を散歩する。
あまりに正確なので、町の人々は彼の姿を見て時計を合わせた、と伝えられています。

その散歩が、一度だけ大幅に乱れたことがありました。
原因は、ルソーの『エミール』。
読み始めたら止まらなくなったのだと伝えられています。
前回の問題児が、人間時計を狂わせた唯一の本だったわけです。

男の名は、イマヌエル・カント。
生涯この町からほとんど出ることなく、行動半径最小のまま、哲学史上最大級の革命を起こした人です。
今回から前後編の二回、じっくり付き合ってください。
前編は、彼が「認識のコペルニクス的転回」と自負した、ものの見方の大逆転です。

まず、経歴が励みになります。

カントは馬具職人の家に生まれ、若いころは貧しい家庭教師と私講師の生活を長く続けました。
大学の正教授になれたのは46歳。
そして主著『純粋理性批判』を出したのは、57歳のときです。

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