前回の呼吸瞑想は、心を一点に集める「止(サマタ)」の練習でした。
今回はもう一つの柱、「観(ヴィパッサナー)」——観察する瞑想です。
サマタが望遠鏡の三脚を固定する作業だとしたら、ヴィパッサナーはその望遠鏡で実際に観測する作業。
そして観測する対象は、星ではなく、自分の心と体でいま起きていることです。
マインドフルネスという言葉で世界に広まったのは、主にこちらの系統です。
源流の経典は『念処経(ねんじょきょう)』。
ブッダが「これは苦しみを乗り越えるための一本道である」と、異例の力強さで宣言した経典です。
念処経の教えは、驚くほど具体的です。
体の動作、感覚、心の状態。
起きていることを、起きているそばから、知る。