十七音。
俳句です。
シェイクスピアが三千行の戯曲で人間を書いていた頃と同じ17世紀に、日本では、たった十七音で世界を切り取る文学が完成に向かっていました。
完成させたのは、旅に生きたひとりの男。
松尾芭蕉です。
そしてこの世界最短の文学は、いま「haiku」として、世界中の言語で書かれています。
芭蕉の偉さを理解するには、彼の前の俳句を知る必要があります。
俳句の祖先は、連歌から派生した俳諧という言葉遊びでした。
洒落や滑稽で笑わせる、宴会芸に近いジャンルです。
才気は競うけれど、魂は込めない。
そういう位置づけの遊びでした。