戦場のナポレオンが、遠征の荷物に入れて7回読んだと伝えられる小説。
ゲーテ『若きウェルテルの悩み』です。
1774年、25歳の無名の青年が書いたこの薄い失恋小説は、ヨーロッパ中の若者を熱狂させました。
本が売れた、という次元ではありません。
若者たちの服装が変わり、話し方が変わり、社会が動いた。
世界初の「社会現象ベストセラー」の話をします。
物語は、ほぼ全編が手紙でできています。
若く感受性豊かな青年ウェルテルが、友人に宛てて心の内を書き送る。
彼は田舎町で、ロッテという女性に出会い、恋に落ちます。
けれどロッテには、誠実な婚約者がいました。
わかっていても、想いは止まらない。
ウェルテルの手紙は、喜びから焦がれへ、焦がれから絶望へと温度を上げていき、やがて破局へ向かいます。