1857年、パリ。
被告は作家フローベールと、彼の小説を連載した雑誌の関係者。
罪状は、公衆の道徳と宗教への冒涜です。
問題とされた作品が『ボヴァリー夫人』。
田舎の医師の妻が、退屈な結婚生活から不倫と浪費に沈んでいく物語です。
なぜこの小説は、国家を怒らせたのか。
不倫を書いたから、ではありません。
不倫を「裁かずに」書いたからです。
主人公のエンマは、農家の娘です。
修道院の寄宿学校で育った彼女は、恋愛小説を読みふけって少女時代を過ごしました。
物語の中には、燃えるような恋、月夜の逢瀬、絹とシャンデリアの世界がある。
彼女は、自分の人生にもそれが訪れると信じて育ちます。