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物語という、最古の発明 第38回

総括 — 物語は、何のためにあるのか

第6部 現代 物語は世界に散らばる

粘土板のギルガメシュから、世界同時配信の現在まで。
38回かけて歩いてきた道を、今回はいったん高いところから見下ろします。

第1回で、ぼくはこう言いました。
物語は、人類最古の発明である、と。

では、その発明は、何のための道具だったのか。
最終回の問いは、これです。
旅で拾ってきた実例で、答えを七つにまとめてみます。

第一に、記憶を運ぶ。
文字のない時代、ホメロスの吟遊詩人と稗田阿礼の暗唱が、共同体の歴史と知恵を運びました。
琵琶法師も、講釈師も、物語という記憶装置の運転手でした。

第二に、死者と語る。
ギルガメシュは親友の死から物語を始め、ダンテは亡きベアトリーチェに天国で再会しました。
プルーストは失われた時間を、マドレーヌ一個で連れ戻した。
物語の中でだけ、ぼくたちは失った人ともう一度会えます。

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