前回の『月世界旅行』で、映画は「物語」を手に入れました。
でもメリエスの映画は、よく観ると全部が舞台の記録なんです。
カメラは客席のど真ん中に固定され、役者は舞台の上で演技する。
場面が変わるときは、幕が変わるように背景ごと変わる。
つまり当時の映画は、まだ「撮影された演劇」でした。
映画が演劇から独立して、映画にしかできない語り方を見つけるには、ある発明が必要だった。
「編集」です。
別々の場所で撮った映像を、切って、つなぐ。
たったこれだけのことが、映画を芸術に変えました。
その決定的な一歩が、1903年にアメリカで撮られた12分の映画、『大列車強盗』です。
監督のエドウィン・S・ポーターは、もともとエジソンの会社の撮影技師でした。