今回の主人公は、映画史でいちばん扱いに困る男です。
D・W・グリフィス。
「映画の父」と呼ばれ、現代の映画が使っている語り口の大半を確立した監督。
同時に、映画史上もっとも深い罪を残した監督でもあります。
光と影、両方ちゃんと話します。
この人を綺麗な偉人伝にしてしまったら、映画史を学ぶ意味が半分消えるからです。
グリフィスはもともと、売れない舞台俳優でした。
食うために「格下の仕事」と見下していた映画界に入り、1908年からバイオグラフ社で監督業を始めます。
そこからの5年間で撮った短編が、なんと約450本。
週に2本ペースです。
このありえない量の実験の中から、映画の文法が生まれてきました。