第3部は、しゃべるようになった映画の物語です。
前回見た通り、初期のトーキーは技術に振り回されて、映像がむしろ退化していました。
カメラは防音ブースに閉じ込められ、俳優はマイクの前に棒立ち。
「音は映画をダメにする」と本気で言われていた時代です。
その空気を一撃で終わらせた映画が、1931年のドイツで生まれます。
フリッツ・ラング監督の『M』。
連続児童殺人犯に怯える大都市ベルリンを描いた、トーキー最初期の、そしていまだに最高峰のサスペンスです。
ラングは『メトロポリス』(1927年)でサイレント大作の頂点を極めた巨匠です。
その彼が初トーキーで示したのは、「音は映すものではなく、演出するものだ」という発見でした。