第6回のキートンを覚えていますか。
2トンの壁の下に立ち、CGなしの肉体で「本当にやった」を積み上げた男。
あの魂の正統後継者は、ハリウッドではなく、香港に現れました。
今回は、映画がもう一度「身体」に戻ってくる話です。
まず前史から。
1970年代初頭、ブルース・リーが世界を蹴り上げます。
『ドラゴン危機一発』『燃えよドラゴン』。
香港というアジアの一都市で作られたカンフー映画が、全世界で大ヒットし、「アクション」の重心を銃から肉体へ引き戻しました。
リーは1973年、32歳で急死。
伝説はわずか主演5本足らずで凍結され、だからこそ永遠になりました。
その死後の空白の中から、まったく別のアプローチで王座に就いたのが、ジャッキー・チェンです。
リーが「強さ」なら、ジャッキーは「痛さ」。
殴られ、落ち、転がり、ボロボロになりながら勝つ。
カンフーにキートン印のスラップスティック喜劇を混ぜたのが、ジャッキー流でした。
本人がキートンとハロルド・ロイドからの影響を公言していて、『プロジェクトA』の時計台落下は、ロイドの『要心無用』への堂々たるオマージュです。