第4部の最終回は、20世紀人類学の巨人、クロード・レヴィ=ストロースの話です。
構造主義の創始者として思想史に名を残す人ですが、今回はその中から、実務家にいちばん役立つ概念をひとつだけ持ち帰ります。
ブリコラージュです。
レヴィ=ストロースは『野生の思考』(1962年)で、人間の知性にはふたつの型がある、と論じました。
ひとつはエンジニアの知性。
まず設計図を描き、その設計に必要な材料と道具を調達し、計画どおりに作る。
目的が先、材料が後。
近代の科学とビジネスの標準です。
もうひとつがブリコルール(器用人)の知性。
フランス語のブリコラージュは「日曜大工」「あり合わせ仕事」といった意味です。
ブリコルールは、設計図から始めません。
まず手持ちの道具箱を開ける。
そこにある半端な木材、外した金具、いつか使うと思って取っておいた紐。
「いま、ここにあるもの」から出発して、それらを組み合わせ直して、目的のほうを材料に合わせて調整しながら、モノを作り上げる。