ローマ帝国の歴史は、たいてい英雄と戦争の物語として語られます。
カエサル、アウグストゥス、五賢帝、そして滅亡。
今回はその同じ歴史を、お金と借金のレンズだけで読み直します。
すると、教科書とはまったく違う物語が浮かび上がってきます。
ローマ史の裏の主旋律は、一貫して「債務危機」なんです。
ローマ建国の伝説の直後から、この問題は史書に登場します。
初期ローマの平民は、戦争のたびに従軍を求められました。
従軍中、自分の畑は荒れます。
帰ってきた兵士は生活のために借金をし、返せなければ「ネクスム」と呼ばれる債務拘束状態に落ちました。
体で返す、文字どおりの債務奴隷です。
これに対して平民は、ストライキで対抗しました。
「聖山事件」と呼ばれる集団退去です。
平民が全員で都市を出ていき、丘に立てこもる。
兵士の供給源に去られたら、ローマは戦争ができません。