中世の経済の話をするとき、ぼくらはついヨーロッパばかり見てしまいます。
でも当時の世界経済の主役は、ヨーロッパではありません。
8世紀から13世紀にかけて、地中海からインド洋までの貿易の心臓部を握っていたのは、イスラム世界でした。
最盛期のバグダッドは人口数十万を数える世界最大級の都市で、同時代のパリやロンドンは、その郊外の町くらいの規模です。
10世紀に建設されたカイロも、あっという間にその仲間入りをしました。
そしてこのイスラム世界の金融には、大きな特徴がありました。
利子の禁止です。
イスラム法は、リバーと呼ばれる利子を明確に禁じています。
お金がお金を生むことを認めない、という原則です。
現代人の感覚だと「それじゃ経済が回らないのでは」と思いますよね。
ところが実際に起きたのは逆でした。
制約が、金融技術の洗練を生んだんです。