いまあなたの財布に入っている紙のお金。
その直系のご先祖は、約1000年前の中国、四川省で生まれました。
今回は、世界初の紙幣の物語です。
そしてこれは同時に、世界初の「紙幣の失敗」の物語でもあります。
人類は紙のお金を発明した直後に、その使い方を間違えるところまで、ワンセットで経験していたんです。
北宋時代の四川には、変わった事情がありました。
銅が不足していたため、この地域では鉄の銭が使われていたんです。
鉄銭は、とにかく重い。
まとまった買い物をするには、銭の束を荷車で運ぶ必要がありました。
絹を一反買うのに何十キロもの鉄を運ぶようでは、商売になりません。
そこで成都の商人たちが考えました。
鉄銭を信用のある商家に預け、預り証をもらう。
その預り証を、取引の支払いにそのまま使う。
紙切れ一枚が、荷車一台分の鉄銭の代わりになるわけです。