2024年3月、一人のマンガ家の訃報が世界を駆けめぐりました。
各国の政府関係者やアスリート、世界中のクリエイターが追悼の声明を出す。
マンガ家の死が、国際ニュースのトップ級で扱われる。
鳥山明。
『ドラゴンボール』の作者です。
今回は、この人が何を変えたのかを、できるだけ具体的に見ていきます。
結論から言うと、鳥山明は「絵」そのものの基準を変えた人です。
デビューの経緯からして規格外でした。
名古屋でデザイン会社に勤めていた青年が、賞金目当てに投稿を始め、少年ジャンプの編集者・鳥嶋和彦に見出される。
ボツを重ねること数百ページ。
1980年に始まった『Dr.スランプ』は、ペンギン村を舞台に、怪力ロボット少女アラレちゃんが暴れまわるギャグマンガです。
読者と業界が驚いたのは、まず絵でした。
ギャグマンガなのに、絵が異様にうまい。
メカのデザインはデザイナー出身らしく立体として正確で、丸みのあるキャラクターはどの角度から描いても破綻しない。
パースの効いた構図、白と黒の配分の美しさ。
「マンガの絵は物語の乗り物」という常識の中で、鳥山の誌面は絵を見るためだけにページを開く価値がありました。
アニメ化された『Dr.スランプ アラレちゃん』も大ヒットし、鳥山は一気に看板作家になります。
1984年に始まった『ドラゴンボール』で、鳥山の作画はさらに先へ行きます。
特に革命的だったのが、バトルの描き方です。