第9回のジャンプの話は、いわば「システムの物語」でした。
今回は正反対の話をします。
数人の若い女性たちが、システムの外側で起こした表現の革命です。
1970年代の初め、昭和24年前後生まれの少女マンガ家たちが相次いでデビューし、少女マンガを根底から作り替えました。
萩尾望都、竹宮惠子、大島弓子、山岸凉子。
のちに彼女たちは「24年組」と呼ばれるようになります。
前提から始めます。
1950〜60年代の少女マンガの描き手には、実は男性が多くいました。
手塚治虫『リボンの騎士』、ちばてつやの少女もの、赤塚不二夫も横山光輝も少女誌に描いていた。
「少女はこういう物語が好きだろう」という想定で、母もの、バレエもの、いじめられっ子の健気な物語が量産されていた時代です。
そこに、少女マンガを読んで育った女性たちが、描き手として現れます。
読者だった人が作者になる。
この世代交代は、劇画のときと同じ構造です。
ただし24年組が起こした変化は、題材の拡張だけではありませんでした。
マンガという形式の使い方そのものを変えたんです。
代表例として、萩尾望都『ポーの一族』(1972年連載開始)を見ます。
主人公は、永遠に14歳のまま生き続けるバンパネラ(吸血鬼)の少年エドガー。
物語は彼の二百年を、時代を行き来しながら断章のように描いていきます。