こんな経歴の作家を想像してみてください。
デビューから半世紀近く、少年誌の週刊連載の第一線をほぼ走り続ける。
手がけた主要連載はことごとくヒットし、単行本の累計発行部数は2億冊を超える。
そして2019年、フランスのアングレーム国際漫画祭で、日本人として数少ないグランプリを受賞。
アメリカのアイズナー賞では殿堂入り。
高橋留美子。
ぼくが「世界最強の週刊連載作家」と呼んで、誰からも異論が出ない人です。
1978年、新潟出身の大学生だった高橋留美子は、『週刊少年サンデー』で『うる星やつら』の連載を始めます。
地球侵略に来た宇宙人の少女ラムが、地球の高校生・諸葛あたるに一方的に居着いてしまうドタバタ劇。
いま見ると普通のラブコメに見えますが、当時の少年誌の常識では異物でした。
第8回で見たとおり、70年代の少年誌は劇画とスポ根の男の世界。
恋愛は少女マンガの領土で、少年誌の主人公が女の子とのあれこれで一話を使うなんて軟弱の極みとされていた。
『うる星やつら』はその常識を、SFとギャグの包み紙でくるんで突破します。
結果は爆発的なヒット。
以後「少年誌のラブコメ」は一大ジャンルになり、サンデーはその総本山になりました。