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マンガ百年、ぜんぶ読む 第18回

恐怖というジャンル — 楳図かずお・伊藤潤二、世界へ輸出された悪夢

第3部 少女マンガと青年マンガ

静止画は、映像より怖い。

ホラー映画は、怖い場面が勝手に過ぎてくれます。
マンガは違います。
ページをめくった先の見開きが怖かったら、あなたがページを閉じるまで、それはそこにあり続ける。
しかも次のページをめくるかどうかは、あなたが自分の指で決めなければならない。
恐怖への最後の一歩を、読者自身に踏ませるメディア。
それがマンガです。

今回は、日本のマンガが世界でいちばん先鋭化させたジャンルのひとつ、ホラーの話です。

日本のホラーマンガの国土は、ほぼ一人の人が開拓しました。
楳図かずおです。

50年代から蛇女ものなどの怪奇マンガで人気を得た楳図は、60〜70年代に恐怖の表現をジャンルとして確立します。
金字塔が『漂流教室』(1972)。
小学校が校舎ごと荒廃した未来世界へ飛ばされ、子どもたちだけで生存を戦う物語です。
この作品の恐ろしさは、お化けではありません。
極限状態で壊れていく人間、そして「もう家に帰れない」という根源的な喪失です。
子ども向け週刊誌で、ここまで容赦のない絶望を描き切った勇気には、いま読んでも震えます。

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