第9回で、少年ジャンプという苛烈なシステムの話をしました。
毎週のアンケート、10週打ち切り、人気作は終われない引き延ばし。
あのシステムの中で、たった一人、例外であり続けている作家がいます。
冨樫義博。
『HUNTER×HUNTER』の作者です。
長期休載を繰り返しながら、それでも読者が待ち続け、再開のたびに事件になる。
今回は、システムより作家が強いという稀有な現象の話です。
冨樫義博の名を最初に轟かせたのは、1990年連載開始の『幽☆遊☆白書』でした。
死んだ不良少年が霊界探偵として蘇る物語は、バトル路線への転換で爆発的な人気となり、アニメ化もされてジャンプの看板になります。
事件は連載末期に起きました。
冨樫は、人気絶頂のこの作品を、比較的短い決着で終わらせたんです。
のちに本人が語ったところでは、心身の消耗が限界に達していた。
第9回でやった「人気作は終われない」構造の中で、作家が自分の意思で幕を引いた。
これは当時のジャンプでは、ほとんど反乱に近い出来事でした。
続く『レベルE』で底意地の悪いSFコメディの切れ味を見せたあと、1998年、『HUNTER×HUNTER』が始まります。