ここまで、日本のマンガが世界の共通語になるまでを見てきました。
第5部は現在の話。
その最初に、あえて外からの挑戦者を取り上げます。
スマホでマンガアプリを開くと、ページをめくるのではなく、親指で下にスクロールして読む作品があります。
フルカラーで、コマは縦一列。
Webtoon(ウェブトゥーン)と呼ばれる形式です。
生まれは日本ではありません。
韓国です。
韓国のマンガ(マンファ)市場は、2000年代初めに紙の雑誌が壊滅的に縮小しました。
その焼け跡で、ネイバーやダウムといったポータルサイトが、ウェブ連載の場を用意します。
紙の見開きを前提にしない、画面で読むための形式がそこで進化しました。
- 縦スクロール。めくりではなく、流れで時間を演出する
- フルカラーが標準
- スマホの画面幅が、コマの幅
第4回で、手塚治虫が「紙のページ」にカメラを持ち込んだ話をしました。
Webtoonは、その前提ごと取り替えたわけです。
めくりの快感の代わりに、スクロールの落下感がある。
見開きの構図力の代わりに、縦の余白で作る溜めがある。
形式が変われば、演出の文法も変わる。
マンガのコマ割りが百年かけて洗練させた技術体系と、まったく別の体系が並び立ったんです。