夢のある話と、シビアな話を、両方します。
日本には、マンガを描いて生きる人が何千人もいます。
頂点は長者番付級の収入。
裾野は、原稿料だけでは食べられない兼業作家。
今回は、この職業の経済構造の話です。
作品の裏側のお金の流れがわかると、この講座で見てきた歴史の全部が、もう一段立体的になります。
まず、業界の公然の事実から。
週刊連載の原稿料は、それだけでは儲かりません。
原稿料は雑誌掲載への対価で、相場はキャリアや雑誌により幅がありますが、1ページあたり数千円から数万円といわれます。
週刊連載なら週に約19ページ。
一見立派な金額になりそうですが、ここからアシスタントの人件費、仕事場の家賃、資料代が出ていく。
複数のアシスタントを雇う週刊連載の場合、原稿料は経費でほぼ消え、赤字すら珍しくないと多くの作家が証言しています。
では、何で生きているのか。
単行本の印税です。
紙の単行本は定価のおよそ10%が作家に入る。
1冊500円の単行本が10万部売れれば、印税はおよそ500万円。
100万部なら5000万円。
つまりこの職業は、雑誌連載(認知獲得の場)ではなく、単行本(回収の場)で成立する二段構造なんです。
第9回のアンケート競争がなぜあれほど苛烈かも、これでわかります。
連載の人気は、単行本の売上に直結する生命線だからです。