2004年、アイルランドのダブリンで開かれた学会で、一人の物理学者が敗北を宣言しました。
スティーヴン・ホーキング。
車椅子と音声合成装置で知られた、当時世界でもっとも有名な物理学者です。
彼は7年前、同僚のキップ・ソーンと組んである賭けをしていました。
相手はカリフォルニア工科大学のジョン・プレスキル。
賭けの対象は、ブラックホールに落ちた情報が失われるかどうか。
ホーキングは、失われると主張していました。
プレスキルは、失われないと主張していました。
そしてこの日、ホーキングは自分が間違っていたと認め、賭けの品を手渡します。
負けた場合に渡すと決めていたのは、勝者が選んだ百科事典でした。