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なぜ人は、妖怪を生んだのか 第5回

狐 — 神と妖のあいだ

第1部 闇の住人たち

日本には、コンビニより多い神社があります。
その神社の中で、いちばん数が多い系統は何か。

答えは稲荷神社です。
全国に3万社あるとも言われ、赤い鳥居と狐の像がトレードマーク。
京都の伏見稲荷大社を総本宮に、都会のビルの屋上から田舎の畑の隅まで、お稲荷さんは日本中にいます。

ここで不思議なことがあります。
狐は、人を化かす妖怪の代表でもある。
神の使いとして祀られながら、同時に人を騙し、憑りつく。
神と妖のあいだを行き来する存在——それが狐です。
今日はこの両義性をほどきます。

稲荷神社の祭神は、ウカノミタマという穀物の神です。
「ウカ」は食べ物、とくに稲を意味する古い言葉。
つまりお稲荷さんは、もともと米の神様です。

では、なぜ米の神の使いが狐なのか。
有力な説はとても現実的です。
狐は、田んぼを荒らすネズミを食べる益獣だったから。
春になると山から里へ下りてきて、稲刈りが終わるころ山へ帰る。
その行き来が、山の神が春に里へ下りて田の神になるという古い信仰と重なりました。
田のそばに現れる金色の獣は、米の神の気配そのものに見えたわけです。

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