「黄昏(たそがれ)」という言葉は、もともと「誰そ彼」と書きます。
夕暮れの薄闇の中、向こうから歩いてくる人の顔が見分けられない。
「誰だ、彼は」。
それがそのまま時間の名前になりました。
明け方には対になる言葉があって、「彼は誰(かわたれ)時」。
一日に二度、人の顔がわからなくなる時間帯を、昔の人はわざわざ名前で区切ったんです。
そして夕暮れには、もうひとつ、ずっと不穏な名前がつけられました。
逢魔時(おうまがとき)。
魔に逢う時間、です。
なぜ夕暮れが「魔に逢う時」なのか。
この講座をここまで受けてきたあなたなら、もう答えの形が見えているはずです。
境界だからです。