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なぜ人は、妖怪を生んだのか 第15回

逢魔時 — 夕暮れはなぜ、不安なのか

第3部 境界と異界

「黄昏(たそがれ)」という言葉は、もともと「誰そ彼」と書きます。

夕暮れの薄闇の中、向こうから歩いてくる人の顔が見分けられない。
「誰だ、彼は」。
それがそのまま時間の名前になりました。
明け方には対になる言葉があって、「彼は誰(かわたれ)時」。
一日に二度、人の顔がわからなくなる時間帯を、昔の人はわざわざ名前で区切ったんです。

そして夕暮れには、もうひとつ、ずっと不穏な名前がつけられました。
逢魔時(おうまがとき)
魔に逢う時間、です。

なぜ夕暮れが「魔に逢う時」なのか。
この講座をここまで受けてきたあなたなら、もう答えの形が見えているはずです。

境界だからです。

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