α版 ゲスト ログイン
← なぜ人は、妖怪を生んだのかに戻る

なぜ人は、妖怪を生んだのか 第16回

産の民俗 — 誕生は、共同体の事件だった

第4部 生と死の民俗

安産祈願は、なぜ「戌の日」なのでしょうか。

妊娠五か月目の戌の日に、腹帯を巻いて安産を祈る「帯祝い」。
今も多くの妊婦さんが神社で祈祷を受けます。
戌の日の理由は、犬のお産が軽く、多産だから。
犬にあやかりたい、という素朴な願いです。

今日から第4部。
人の一生に寄り添う民俗を、いのちの入り口から順に見ていきます。
最初は出産——かつて、家族と共同体の総力戦だった営みの話です。

かつての日本には、産屋(うぶや)という建物がありました。
出産のときだけ使う小屋で、妊婦は臨月になるとそこへ移り、母屋から離れてお産をしました。
地域によっては、火も母屋と別にする「別火」の慣習まであった。

なぜ隔離するのか。
表向きの説明は「産の穢れ」です。
出血を伴うお産は穢れとされ、母屋や共同体から切り離された——。
ただ、民俗学者たちはこの「穢れ」を、単純な差別と見ませんでした。
産屋は、産婦が家事労働から完全に切り離される場所でもあったからです。
日常(ケ)の外に置かれるということは、日常の義務からも外れるということ。
産屋には世話役の女性がつき、産婦は「何もしなくていい存在」として扱われました。

ALPHA

α版のご案内

明鏡 学習サイトは、いま鋭意開発中のテスト期間です。

無料講座の講義音声は、イケハヤの声をもとにAIで生成しています。読み間違いに気づいたら、講義そばの「読み間違いの報告」から教えてください。

気になるところ・動かないところは、Discordでイケハヤまでお寄せください。

Discordで伝える