260年の泰平、と言ってきましたが、江戸時代の後半は決して安泰ではありませんでした。
天災、飢饉、財政難、一揆。
幕府は三度の大改革でシステムの立て直しを試み、三度ともうまくいきません。
その一方で、蘭学という新しい知が育ち、来るべき時代の伏線が仕込まれていきます。
第5部の締めくくりは、この「揺らぎ」の時代です。
キーワードは、気候、緊縮、そして翻訳。
江戸の三大飢饉、と呼ばれるものがあります。
享保、天明、天保の飢饉です。
中でも最悪だったのが、1780年代の天明の飢饉でした。
東北を中心に、餓死者と疫病死者が数十万規模に及んだとされる大災害です。