幕末は、日本史でいちばんドラマ化されてきた15年です。
新選組、龍馬、西郷、晋作。
人気キャラクターの宝庫ですが、人物列伝で追うと、かえって全体の流れが見えなくなる時代でもあります。
なので今回は、一本の補助線で15年を貫きます。
その補助線とは、「攘夷の不可能を、いつ悟ったか」です。
開国直後の日本には、「攘夷(じょうい)」、つまり外国人を打ち払えという思想が燃え広がりました。
ところが明治維新を成し遂げた男たちは、ほぼ全員、元・攘夷派です。
彼らはどこかの時点で「攘夷は無理だ」と悟り、「ならば外国に負けない国を作る」へ転回した。
この転回が早かった者が、時代の主役になりました。
幕末とは、壮大な「認識のアップデート競争」だったんです。
まず、幕府の権威が崩れた瞬間から。